相続の開始

自然的死亡の場合は、被相続人が死亡したときに相続が開始します。被相続人が死亡したときとは、医者が死亡と診断した時点であり、死亡届出時ではありません。

普通失踪(生死が7年間分明でない不在者)の場合は、最後にその者の所在が確認できる日から7年の期間が満了した日に死亡したものとみなされます。特別失踪(死亡の原因となる危難に遭遇してから1年間生死が分明でない不在者)の場合は、その危難が去った日に死亡したものとみなされます。 

地震や水害などの天災地変があり、死亡したのは確実だが死体の発見ができないという場合には、その取調べを行った官公署が死亡地の市区町村長に死亡の報告をし、戸籍上死亡という記載がなされます(認定死亡)。この場合は、戸籍記載の死亡時において死亡したものと認められます。

遺産分割協議

相続が開始すると、共同相続人間で協議を行い、遺産分割の方法を定めます。

協議がまとまれば、後日の紛争を防止するためにも、また不動産の所有権移転登記手続きや相続税の申告のためにも、遺産分割協議書を作成しておいた方が良いでしょう。

協議の際には、相続人の確定、遺産の範囲と評価の確定、各相続人の具体的相続分の確定など、遺産分割の前提事実についても確認する必要があります。

前提事実について争いがあり、協議がまとまらないような場合には、訴訟を提起する場合も考えられます。

 

遺産分割調停など

遺産分割協議がまとまらなかった場合には、家庭裁判所に対して遺産分割調停の申し立てを行うことが考えられます。

調停では、およそ月に1回程度の調停期日を設けて、調停委員を交えて話し合いを行います。

なお、遺産の前提となる事項(遺産の範囲や遺言書の有効性など)について争いがある場合には、訴訟等で前提事項を確定させてから調停を行うことになります。

遺産分割の実行

遺産分割協議がまとまる、或いは調停等で遺産分割の方法について決着がついた場合には、実際に遺産を各相続人に分割する必要があります。

不動産の場合

不動産の登記名義を放置しておくと、固定資産税が被相続人名義のまま課税される、不動産の売却や担保権を設定できないといった不都合が生じるので、所有権移転登記手続きを行う必要があります。

名義がそのままであれば、相続を登記原因として、被相続人から相続人へ直接、相続の登記をすることになります。

他方、遺産分割の話し合いができるまで、相続人の一人が勝手に不動産を処分しないよう、一旦、共同相続の登記をすることもあります。この場合には、共同相続人全員を登記義務者として、共同申請により、遺産分割を登記原因として、他の各相続人の共有持分につき所有権移転登記手続きをすることになります。

預貯金の場合

判例では、預貯金などの金銭債権について、相続開始と同時に法定相続分に応じて各相続人に当然分割されるとされています。

しかし、実務上は、何らかのトラブルに巻き込まれることを防止するために、各金融機関は払い戻しについて厳格な手続きを要求しています。一般的には、相続人全員の署名押印や戸籍謄本、印鑑証明書などを提出して払戻し請求をすることになりますが、具体的には各金融機関の担当者に問い合わせて下さい。

なお、遺言執行者が定められた遺言がある場合には、預金の払い戻しは遺言執行者が行うことになります。

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