任意後見の場合

まず、誰を任意後見人に選任するか、代理権の範囲をどのようにするか、といったことを検討します。

これが決まると、任意後見契約を締結しますが、これには3つのパターンがあります。

将来型

文字通り、判断能力が十分なうちに、将来に備えて任意後見契約を締結しておくというものです。

将来、判断能力が低下したときに、任意後見監督人の選任を家庭裁判所に申し立てることで効力が発生します。

移行型

将来型と同様、将来判断能力が不十分になった場合に備えて事前に任意後見契約を締結しておくのと同時に、別途、財産管理契約を結んでおくものです。

判断能力が十分なうちは、財産管理契約で財産管理を自分に代わってやってもらい、判断能力が不十分になったら、任意後見を開始するようにしておくのです。これは、自分の状態に合わせて信頼できる人に財産管理を依頼できるという点で、優れた利用方法だといえます。

即効型

任意後見契約を締結してすぐに、任意後見監督人の選任を申し立てるようなケースです。

通常は、任意後見契約を結ぶ際には判断能力が必要ですが、判断能力については徐々に低下することが多いことから、自分自身で判断能力が衰えたと感じ始めた段階などに、その時点で本人が任意後見契約を締結することも考えられます。

この場合、補助・保佐の申立てを行うことや、通常の委任契約を併用することも考えられます。

 

任意後見契約の締結

任意後見契約は、必ず公正証書で作成する必要があります。

本人及び任意後見受任者が公証役場に出向いて公正証書を作成しますが、本人が公証役場に行くことが身体的に無理だという事情があれば、公証人が自宅や病院に出向いて公正証書を作成することもあります。

任意後見契約の公正証書を作成するのに必要な書類は、本人の戸籍謄本、住民票、任意後見受任者の戸籍謄本(法人の場合は登記事項証明書)、実印、印鑑登録証明書、運転免許証などです。

公正証書を作成するのに要する費用は、@基本手数料11,000円、A登記嘱託手数料1,400円、B登記印紙代4,000円、C書留郵便代金約540円、D用紙代250円×枚数分です。

ただし、必要な書類及び費用については、実際に公正証書を作成する前に公証役場に尋ねた方が良いでしょう。

任意後見契約の効力の発生

任意後見契約を締結した後、本人が認知症になる等して判断能力が不十分になった場合、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てます。

その前に、財産管理契約を結んでいたり、判断能力の確認のために見守り契約(ホームロイヤー契約)を結んでいることもあります。

家庭裁判所は、任意後見受任者が任意後見人にふさわしいかを確認し、問題なければ任意後見監督人を選任します。

任意後見監督人が選任されると、任意後見受任者は任意後見人になり、代理権などが発生します。また、任意後見人などに関する登記がなされます。

任意後見人は、任意後見契約で定められた内容の財産管理などを行い、任意後見監督人はその仕事をチェックします。

任意後見契約の終了

任意後見契約の解約、任意後見人の解任、本人または任意後見人の死亡により、任意後見契約は終了します。

本人が死亡した場合、任意後見人には死亡後の事務を取り扱う権限がありません。本人に親族などがいないケースでは、事実上、後見人が葬儀や火葬などの手続きを行っているケースも多く見られます。

死亡後の取り扱いについても任意後見人に託したいのであれば、任意後見契約と同時に、死後の事務委任契約を締結しておく方が良いでしょう。 

法定後見の場合

法定後見制度には、「後見」「保佐」「補助」の3つの類型があります。

本人の判断能力によって、どの類型を選択するかを決定します。

法定後見開始の申立

法定後見制度を利用するためには、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に、後見等開始の審判の申立を行います。

申立をすることができるのは、本人のほか、本人の配偶者四親等内の親族(=親、子、祖父母、孫、兄弟姉妹、おじ、おば、甥、姪など)、検察官市区町村長です。

申立てに要する書類や費用は家庭裁判所により異なりますので、実際に申立てを行う家庭裁判所に確認する必要があります。

審判手続き

審判では、申立人・成年後見人等の候補者・本人が家庭裁判所に出向いて、裁判所の担当者(調査官)から質問を受けます。

調査官の調査とは別に、担当の裁判官(家事審判官)が事情を尋ねる場合(審問)もあります。

これら調査や審問とは別に、本人の精神鑑定が行われますが、補助などでは医師の診断書を提出するだけで足りることも多いようです。

家庭裁判所は、医師の鑑定や診断書と裁判所の調査・審問の結果から、最終判断を下すことになります(審判)。

審判が確定すると、家庭裁判所の書記官から法務局に対して審判内容が通知され、法務局の登記官が、審判内容を「後見登記等ファイル」に記録する形で登記します。審判内容が登記されると、法務局から登記事項証明書を取得できるようになるので、これで成年後見人等の権限を証明することができます。

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